長い時間が経って、鈴木和香はようやく膝から顔を上げた。涙の跡は乾いていて、目は赤く腫れていた。しゃがんでいた時間が長かったせいで、立ち上がろうとした時に足がしびれて床に倒れ込んでしまった。
鈴木和香は唇を噛みながら床から立ち上がり、壁の時計を見た。もう12時15分を回っており、彼の誕生日は終わっていた。
鈴木和香はしばらくその場に立ち尽くしてから、目を伏せて寝室を出た。
別荘は空っぽで、彼女の足音だけが響き、鈴木和香の心には言い表せない寂しさが広がっていた。
彼女は物置に行き、段ボール箱を持ち出して寝室に戻った。そして床に膝をつき、ろうそくを一つ一つ拾い上げて箱に入れ、それを抱えて階下へ降り、物置に収めた。
寝室に戻った時、鈴木和香は尖った針金を手に持ち、壁に貼られた風船を一つずつ刺していった。風船が割れる音が次々と耳元で響いたが、彼女は少しも驚いた様子もなく、静かな表情のまま、壁に残った風船の皮を一枚一枚剥がしてゴミ袋に入れていった。