店員は来栖季雄にいくつかの薬を紹介し、漢方薬と洋薬があり、来栖季雄は説明書を確認した後、胃を養う効果のある漢方薬を選んで支払い、店を出た。
山荘に戻ると、鈴木和香の撮影はまだ終わっていなかった。来栖季雄は助手に車を下のホテル入口に停めさせ、自身は車内で待っていた。
約30分後、遠くから車が次々と戻ってきた。
来栖季雄は車外を見つめ続け、鈴木和香の車が遠くから近づいてくるのを見ると、車のドアを開けて降りた。
助手は来栖季雄に長年付き添ってきたため、必ずしも彼の考えを全て読み取れるわけではないが、今回は来栖季雄が階上に上がらずにこれほど長く待っていたのは鈴木和香を待っていたのだと理解し、来栖季雄が降りると、急いで後に続いた。
ホテルの駐車場は既に満車で、馬場萌子は車を向かい側に停め、鈴木和香と共に歩いてホテルに向かった。