第327章 2つの「ごめんなさい」(7)

寝室のドアの外から、執事の低い声が聞こえた。「奥様。」

赤嶺絹代は、すでに眠りについている椎名一聡を見つめ、そっと布団をめくり、上着を羽織って寝室を出た。執事に部屋の中を指さし、静かにするよう合図を送りながら、先に階下へと向かった。

執事は赤嶺絹代の後ろを密着して歩いた。

二人が家を出て、人気のない裏庭に着くと、執事はようやく口を開いた。「奥様、和香様が先ほど病院に搬送されました。病院に人を遣わせて確認したところ、和香様は...胎児を失くされたそうです。」

夜も更けており、執事は特に声を落として話し、最後の四文字を発した時、何となく不気味な雰囲気が漂い、赤嶺絹代は上着をきつく握りしめた。しかし、表情は平静を装い、目の前の池に咲き誇る蓮の花を見つめ続け、しばらくしてからようやく頷いて言った。「分かりました。」