第320章 椎名佳樹に反応があった(20)

馬場萌子は夜型人間で、燕の巣を食べた後、デスクに座ってパソコンを触っていたが、まだ30分も経たないうちに何度もあくびが出始めた。最後にはもう我慢できずに立ち上がり、シャワーを浴びて、ベッドに入った時には、鈴木和香はすでにぐっすりと眠っていた。

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その後の二日間、鈴木和香は相変わらず時々吐き気に襲われていた。以前から胃の調子が悪くなることはあったが、せいぜい二、三日で、体の自然治癒力で良くなっていた。しかし今回は数日経っても良くならず、鈴木和香は心の中で不安が募り始め、病院に行った方がいいかもしれないと考えていた。ところが、そう思った翌日、食事をすると吐き気は完全に消え、以前は見ただけで吐き気を催した豚の角煮さえ、胃の不快感なく食べられるようになった。鈴木和香は、いつものように自然に治ったのだと思い、すっかり安心してしまった。

赤嶺絹代が持ってきた燕の巣は40本もあり、馬場萌子は毎晩一本ずつ美容のためと称して飲んでいた。鈴木和香は馬場萌子ほど毎日は飲まなかったものの、五、六本は飲んでいた。

最近の撮影が忙しすぎて疲れているせいか、鈴木和香はいつも眠くなり、馬場萌子も彼女に続いてよくあくびをしていた。

ある夜の撮影中、まだ8時だというのに、鈴木和香は目を開けているのがやっとという状態で、来栖季雄との対面シーンでもあくびをしてしまい、撮影が中断され、やり直しとなった。

鈴木和香は冷水を半分飲んで気を引き締め、二回目は一発で成功させようと思ったが、撮影終わり近くになって何度も続けてあくびが出てしまい、またNGとなってしまった。

鈴木和香は撮影現場に入ってからずっと良い評価を得ていたため、2回続けてNGを出したにもかかわらず、監督は怒ることなく、30分の休憩を与えた。

鈴木和香は最近の自分がどうしたのかわからなかった。以前なら7時間眠れば十分だったのに、ここ数日は常に眠気に襲われていた。監督は叱責しなかったものの、2回続けてNGを出したことで多くの時間を無駄にしてしまい、しかも今夜は夜間撮影だったため、全スタッフに迷惑をかけることになってしまった。

鈴木和香は3回目の撮影を成功させるため、一人で撮影スタジオを出た。