「高校2年生のときのプレゼントは、とても可愛い日記帳でした」
「高校3年生のときのプレゼントは、陶器のマグカップでした」
「大学1年生のとき、あなたがくれたプレゼントは写真立てでした」
「大学2年生と3年生のときは、それぞれネックレスとアンクレット……そして最後のプレゼントが、今夜の陶器人形!」
鈴木和香は来栖季雄がこれまでくれた誕生日プレゼントを一つ一つ数え上げた。それは来栖季雄の記憶と完全に一致していたが、彼女が最後のプレゼントに触れたとき、彼の眉間にしわが寄った。今日のプレゼントを除けば、7つ目のプレゼントは大学4年生のとき彼女にあげたバラの花とケーキのはずだった。しかも大学4年生のときのプレゼントは、これまでの中で一番高価なものだったのに、どうして彼女は言わなかったのだろう?
来栖季雄は心の中で何か違和感を覚えながらも、表情を変えずに尋ねた。「大学4年生のとき、僕は誕生日プレゼントをあげたはずだけど、知らない?」
「大学4年?」鈴木和香は少し困惑した様子で言った。「記憶違いじゃない?大学4年生のとき、私の誕生日の日、あなたは小倉で映画祭に参加していて、私の誕生パーティーには来なかったでしょう?どうしてプレゼントをくれるはずがあるの?」
来栖季雄は鈴木和香の表情は見えなかったが、彼女の言葉から戸惑いが伝わってきた。そこでさらに疑問を投げかけるように「なかったかな?」と声を出した。
鈴木和香は来栖季雄からもらったプレゼントを常に大切に保管していたので、間違えるはずがなかった。しかし、万が一のことを考えて、首を傾げながら真剣に考えてから、来栖季雄に向かって確信を持って言った。「本当になかったわ。あの年は誕生日おめでとうの言葉さえもらえなかったのよ!」
来栖季雄は何も言わなかったが、心の中でおぼろげながら理解した。あの年、彼が賞を獲得して東京まで遠路はるばる来たとき、ゴミ箱に捨てられていたプレゼントを見たが、実は彼女は全く受け取っていなかったのだ。つまり、誰かがプレゼントを横取りしたということだ。
誰だろう?
来栖季雄の頭の中にすぐに赤嶺絹代の名前が浮かんだ。
彼女だ、間違いなく彼女だ!