第391章 さようなら青春、さようなら私の愛(1)

鈴木和香は医師の指示に対して、微笑みながら頷き、立ち上がって検査結果を受け取り、医師に別れを告げた。

鈴木和香が医師の診察室を出たとき、ちょうど若い女性が彼女の前を通り過ぎた。その若い女性は電話をしており、おそらく夫に電話をかけていて、妊娠二ヶ月だと伝えていた。妊婦はみな繊細になるのか、話し方には甘えた調子が混ざっていた。

鈴木和香はその女性のお腹を見た。まだ平らで、思わず自分のお腹に触れた。彼女の子供が取り除かれたのも二ヶ月のときで、あの女性のお腹と同じように、何の兆候も見えなかった。

そうだ、自分が妊娠していたことすら知らなかったのに、来栖季雄はどうやって知ったのだろう?

あの夜、彼女は確かに桜花苑で普通に眠っていて、次の日目覚めたときも桜花苑にいた。その間の十数時間の間に、彼女の子供がいなくなった……