部屋に戻ると、鈴木和香はケーキを切り分け、大きな一切れを取り分けて、階段を上ろうとした時、部屋の電話が鳴り響いた。受話器を取ると、フロントからの電話だった。「鈴木和香様はいらっしゃいますか?」
和香は片手にケーキを持ち、もう片手で受話器を持ちながら、体を少し傾けて応答した。「はい」
「和香様、フロントに二つのお荷物が届いておりますが、今お部屋までお持ちしましょうか?」
一つは鈴木夏美からの誕生日プレゼントだと和香は知っていた。本来なら夏美が直接来るはずだったが、急な出張で大阪にいるため、宅配便で送ることになった。もう一つについては...和香は綺麗な眉を少し寄せ、誰からのものか気になったが、来栖季雄に会いに行くのを急いでいたため、深く考えることはせず、受話器に向かって丁寧に答えた。「お願いします」