第395章 さようなら青春、さようなら私の恋(5)

家の入り口に近づいた時、来栖季雄は隣の鈴木和香の服装を見て、そして自分のスーツ姿を見て、足を止めた。「着替えてくる」

鈴木和香は頷いて、一人で玄関に向かい、まず靴を履き替えようとした。彼女は最初、新しく買ったばかりの白いヒールのサンダルを履こうと思ったが、右足を履いた瞬間、動きを止め、結局靴を脱いで、下駄箱を開けて、しばらく中を見た後、厚底のスニーカーを取り出した。

このスニーカーは、今年の春に鈴木夏美と一緒に山登りに行く約束をした時に買ったものだった。でも、ほら予期せぬことが起きて、山登りは中止になり、靴は箱に入れたまま下駄箱に入れられ、それ以来触れることもなかった。

鈴木和香はスニーカーを履き、姿見の前に立って、二度見してから、最後にストレートの長い髪を高いポニーテールにまとめ、千代田おばさんに黒いヘアゴムを持ってきてもらって結び、満足そうにバッグを手に取って先に外に出た。