第405章 さようなら青春、さようなら私の恋(15)

邸宅は静かで、防音効果が特に良かったにもかかわらず、来栖季雄と千代田おばさんの会話の声と来栖季雄の足音が微かに聞こえていた。寝室のドアが開かれ、鈴木和香は眠りについているふりをして動かなかった。来栖季雄の足音は軽く、ベッドの横に立って彼女をしばらく見つめていたようだった。その後、バスルームから水の流れる音が聞こえてきた。

約10分後、来栖季雄はバスルームから出てきて、そっとベッドに上がり、彼女の隣に横たわった。ボディーソープの香りと彼女になじみ深い彼の体臭が混ざり合って鼻をくすぐり、鼻根が突然痛くなった。温かい液体が急速に目の奥に溢れ、目の窪みが少し腫れぼったくなった。しばらくして、透明な涙が睫毛に掛かり、ゆっくりと枕に落ちた。

来栖季雄は鈴木和香が眠っていると思い、邪魔をしなかった。二人はこうして静かに横たわっていたが、鈴木和香が突然体を反転させ、うとうとしかけていた来栖季雄を目覚めさせた。彼は目を開け、鈴木和香を見つめ、まだ意識がはっきりしない状態で「和香」と呼んだ。