第472章 ビデオチャット(2)

アシスタントは尋ねた。「では……来栖社長は?」

「私は……」来栖季雄は瞼を上げ、先ほどアシスタントが見ていた2階のある病室を見やって言った。「もう少しここにいよう。」

君は病室の中に、来栖社長は車の中に。君が退院するまで待っていても、彼女に近づくことはできない。何の意味があるのだろう!

アシスタントは、これは自分の職務ではないと分かっていたが、少し躊躇した後、それでも我慢できずに助言した。「来栖社長、ホテルに戻って休まれたほうがいいですよ。昨夜は病院の廊下で一晩中眠らずに過ごされ、今日もずっと頑張っておられます。このままでは、お体を壊してしまいますよ。」

体を壊す……来栖季雄の視線は鈴木和香のいる病室の窓に留まったまま、中の明かりが灯り、窓の前を人影が通り過ぎるのがかすかに見えた。まるで何か面白い冗談を聞いたかのように、思わず軽く笑って言った。「大丈夫だ、もう慣れている。」