第473章 ビデオチャット(3)

十一歳のその年、母を亡くした彼は、祖父に連れられて椎名家で新年を過ごすことになった。赤嶺絹代、椎名一聡、そして使用人たちは、誰一人として彼に目もくれなかった。ただ一人、彼と同い年の椎名佳樹だけが、自分の持っているおもちゃを全部抱えて出てきて、一緒に遊ぼうと分け与えてくれた。彼は冷たい性格で、椎名佳樹にあまり関心を示さなかったが、椎名佳樹は彼の冷淡さなど気にも留めず、ずっと笑顔で話しかけ続けた。

真夜中の鐘が鳴る頃、椎名佳樹は多くのお年玉を受け取った。中には分厚い札束が入っており、どの一つを取っても彼の母が残した遺産よりも多かった。

しかし彼にはなかった。

椎名佳樹はその場でそれらのお年玉をゴミ箱に投げ入れ、今でも彼の心に深く刻まれている言葉を言った:「兄さんがもらえないなら、僕もいらない!」