パリはショッピングのパラダイスで、馬場萌子はパリに到着した初日から、ずっとショッピングに行きたいと言い続けていたが、仕事が忙しく、東京に帰る前日になってようやく、鈴木和香と馬場萌子の二人に時間ができて、買い物に出かけることができた。
馬場萌子は買い物の前に、あらかじめ買い物リストを作成していた。出かける時、鈴木和香は馬場萌子が記録したそんなに長いリストを見て、お金があるから贅沢だと皮肉を言ったが、実際に買い物を始めると、元々何も買うつもりのなかった鈴木和香の方が、馬場萌子よりもずっと激しく買い物をした。最後には一人で買い物袋を持ちきれなくなり、馬場萌子に手伝ってもらうことになった。馬場萌子は二人の手の中の大小の買い物袋の八割が鈴木和香のものであることを見て、思わず彼女の言葉を逆に皮肉って返した:「和香、私にお金があるから贅沢だなんて言える立場じゃないでしょ!」
その後、馬場萌子は首を振りながら、羨ましそうな口調で言った:「でも仕方ないわね、来栖スターみたいなお金持ちの旦那様がいるんだもの!」
シャネルのカウンターに寄りかかって、ネックレスを選んでいた鈴木和香は、馬場萌子のこの言葉を聞いて、指が震え、手に持っていたネックレスがカウンターの上に落ちてしまった。鈴木和香は少し不自然な表情で店員に慌てて謝罪し、それから自分が気に入っていた二本のネックレスを店員に包んでもらうように指示した。
馬場萌子と鈴木和香が最後に訪れたのはエルメスだった。馬場萌子は来る前からネットで男性用の財布を選んでおり、彼氏へのプレゼントにするつもりだった。店員に包装を頼みながら、ついでに鈴木和香に尋ねた:「和香、来栖スターへのお土産を選ばないの?」
傍らに立っていた鈴木和香は、かなり長い間躊躇してから、首を横に振り、目を伏せたまま、何も言わなかった。その心の中で何を考えているのか、誰にも分からなかった。
二人がエルメスを出た時には、すでにへとへとになっていて、近くのカフェで休憩することにした。
馬場萌子は携帯で午後の戦利品を二枚撮って、SNSにアップした。そして向かいに座って窓の外を眺めている鈴木和香を見て、彼女の携帯を取り、写真を一枚撮って、鈴木和香に渡しながら言った:「ほら、和香、私が撮った写真いい感じでしょ?Twitterに載せられるわよ。」