もう九時半になろうとしていた。約束の時間から二時間も過ぎているのに、彼女は来る気がないのだろうか?
十三年だ……彼は十三年も待ち続けて、やっとこの日を迎えられたのに、道半ばで倒れるなんて、こんな結末は絶対に受け入れられない。
来栖季雄は遠くの明かりから視線を戻し、テーブルの上の携帯を手に取って、再び鈴木和香に電話をかけた。今回は三回呼び出し音が鳴った後に電話が繋がり、彼の目に一瞬喜びの光が宿った。「和」という一文字を発した途端に電話は切られ、ツーツーツーという話し中の音が響いた。
来栖季雄が再びかけ直しても、先ほどまでと同様に誰も出なかった。
さっきは出たのになぜ切ったんだ?椎名グループの買収の件で怒っているのか、午後に彼が癇癪を起こして彼女を置き去りにしたことに腹を立てているのか?