第562章 13年間愛してた(32)

「彼女と話があるんだ」来栖季雄は一瞬間を置いて、また尋ねた。「彼女が今どこにいるか知っているか?」

鈴木夏美は賢い性格で、来栖季雄のこの焦った様子から、来栖季雄と鈴木和香の間に何か誤解が生じたのではないかと薄々感じ取っていた。しかも、来栖季雄は一晩眠っていないような様子で、昨夜雨に濡れたような姿をしていた。おそらく和香を探し続けたり、待ち続けたりしていたのだろう。ただ、彼は知らなかった。和香が階段から転落して、二時間前にようやく一命を取り留め、まだ意識不明の重症監護室にいることを……

これらの考えが鈴木夏美の頭の中を素早く駆け巡った。彼女が一言言えば、来栖季雄は和香を見つけることができるのだ。

鈴木夏美は来栖季雄の質問に直接答えず、推測を含んだ口調で尋ねた。「和香は椎名グループの件で、あなたと揉めたの?」