第479章 ビデオチャット(9)

東京に戻ると、和香は叔父に鈴木家へ連れて帰られた。熱は下がっていたものの、あれほどの大事故を経験したため、叔父と叔母は何としても彼女を二日間家に滞在させようとした。

和香は説得できず、同意するしかなかった。鈴木家の執事は彼女が戻ってきたことを特に喜び、毎食豪華な料理を用意し、彼女が長年好んでいた料理をほぼすべて作った。仕事で忙しい叔父と叔母も、毎晩帰宅して彼女と夕食を共にし、もちろん芸能界から早く引退するようにと説教もされた。聞き飽きることもあったが、その後で和香の心は温かくなった。幸い馬場萌子が彼女の携帯を届けてくれたので、鈴木家で暇な時は来栖季雄とLINEで話すことができた。

三日目、叔父と叔母はようやく和香が桜花苑に戻ることを許可した。叔父と叔母は和香と赤嶺絹代との以前の会話も、以前醜い顔になった椎名佳樹が来栖季雄の演技だったことも知らなかった。離婚騒動が起きる前は、椎名佳樹と和香は叔父と叔母の前で見せかけの夫婦を演じなければならなかったので、和香が出発する日、椎名佳樹は自ら車で迎えに来た。