第493章 婚約破棄(13)

来栖季雄は答えなかった。

アシスタントはまた尋ねた。「来栖社長、もしかして家庭ドラマに投資するおつもりですか?」

返事は相変わらず沈黙だった。

アシスタントは口を閉ざし、もう声を出さず、時々バックミラーを通して来栖季雄を見やった。

男性は眉間にしわを寄せていたが、表情は不機嫌というよりも、むしろ少し心配そうで悔しそうだった……夏美様は来栖社長に一体何を言ったのだろう?

アシスタントの心の中で疑問が深まる中、後部座席に座っている来栖季雄が突然声を出した。「明後日はグアムの方で提携があったよな?」

「はい、来栖社長」話題の転換が急すぎて、アシスタントの頭が少しついていけず、一瞬置いてから言った。「間宮総監が今夜グアムに飛ぶ予定で、今回の提携を担当することになっています」