実は彼女も来栖季雄に聞いてみたかった。女性とこんなに親密な態度を取って……まるで熱愛中のカップルのように、本当にいいのかと。でも、彼女には聞く勇気がなかった。今の状況があまりにも素晴らしすぎて、もし不用意に口にしてしまったら、この素晴らしさが壊れてしまうかもしれない。聞かないでいれば、いつか二人が友達に戻ったとしても、まだ連絡を取り合うことができるのだから。
来栖季雄の心の中にも、疑問がないわけではなかった。鈴木和香は自分に少し依存しているように感じたが、彼女のその依存が一体どういう意味なのかはっきりとはわからなかった。結局のところ、この女性は自分の弟の妻なのだ。実際、彼は誰よりもよく分かっていた。自分は鈴木和香とこれほど近づくべきではないということを。しかし、どうしても抑えられなかった。二人の関係は良い方向に進んでいるように思えた。この発展が最終的にどのような結末を迎えるのか分からなかったが、正直に言えば、十三年間愛し続けて、人生で初めて少しだけ甘い思いを味わえた今、それを簡単に諦めたくはなかった。
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林夏音は今夜、誰かに付き添って「ミント庭園」に来ていた。
かつて一線で活躍した女優だけあって、若手モデルや援助交際の女性たちと比べると、容姿が際立ち品格があった。そのため宴会では、特にパトロンの面子を立て、パトロンが喜べば喜ぶほど多くのお金がもらえるので、パトロンの言うことを特に良く聞き、誰に酒を注げと言われても従った。
しかし、どんなに酒に強くても、次々と白酒を飲まされては耐えられるはずもなく、林夏音は言い訳をして席を外し、ハイヒールで足元がふらつきながらトイレに駆け込んだ。洗面台に身を乗り出し、お腹の中の酒を全部吐き出してようやく楽になった。その後、水道の蛇口をひねり、水で口をすすぎ、化粧を直して美しさを保ったまま、宴会に戻った。
「ミント庭園」の道は少し入り組んでいて、庭園なので、どこもかしこも同じように見えた。林夏音は戻る途中で道に迷い、自分のいた08番テーブルへの行き方を店員に尋ねようとしたが、店員に会う前に、湖畔のテーブルに座っている来栖季雄と鈴木和香を見つけてしまった。