第491章 婚約解消(11)

男というものは生まれながらにして、ビジネス界の強者になるという夢を持っているものだ。彼も例外ではなく、幼い頃から結婚は世界で最高の協力関係だと知っていた。

政略結婚は互いに利益をもたらすものだから、やらない手はない。

しかし今、突然鈴木和香にこの質問をされ、彼は少し戸惑った。自分が何を躊躇しているのかも分からず、何となく心の底に不安があり、さらには松本雫の顔が脳裏に浮かんできた。約5秒後、椎名佳樹は首を振って松本雫の顔を頭から振り払い、口を開いた。「そうだね、引き続き釣り合いの取れた家柄の女性と政略結婚するよ」

椎名佳樹はその言葉を特に確信を持って言い、まるで自分自身に言い聞かせるかのようだった。

その後、椎名佳樹の携帯が鳴った。運転手からの電話だった。彼は立ち上がり、「行こう、運転手が来たよ」と言った。