鈴木和香は叔母が自分と来栖季雄との付き合いを許さないと聞いて、すぐに弁解しようとしたが、数日後には椎名佳樹との婚約が解消されることを思い出した。そうなれば、来栖季雄とどのように付き合っても、こんな面倒なことにはならないだろう。
今はまだ椎名佳樹の妻という立場にある以上、来栖季雄との接触について叔母と争えば、かえって叔母に自分と来栖季雄の間に何かあると思われてしまうのではないか?
鈴木和香はそう考えて、事を荒立てないほうがいいと思い、叔母に素直に頷いて言った。「分かりました。私が悪かったです。来栖季雄とは以前同級生だっただけで、本当に何もありません。」
鈴木夫人は和香の言葉を聞いて完全に安心し、さらに和香と少し話を続けた。ほとんどが椎名佳樹の妻としてどうあるべきかという話で、和香はひとつひとつ返事をし、その後鈴木夫人と一緒に階下に降り、母の意向に従って赤嶺絹代に謝罪し、今後二度とこのようなことは起こさないと誠意を持って表明した。