第513章 嫁げないなら、僕が娶ろう(13)

椎名佳樹がここまで話したとき、突然言葉を止め、頭を上げて鏡で自分の腫れた唇の端を見つめ、横を向いて鈴木和香に尋ねた。「和香、俺の顔に傷があるのってかっこいいと思う?」

昨日、彼がトイレから出てきたとき、ちょうどトイレに向かっていた松本雫と出くわした。その時、彼は唇の端の傷を拭っていた。彼女が近づいてくるのを見て、無傷の方の横顔を向けた。彼は彼女がいつものように、他人のように通り過ぎると思っていた。しかし、彼女が彼の横を通り過ぎた後、突然立ち止まり、しばらく立っていた後、振り返って彼の前に来て、手を上げ、彼の顔をまっすぐにして、唇の端の傷を数回見つめ、「ふーん」と三回舌打ちをして、「こっちの方が見やすいわね!」と言い放ち、彼の顔から手を離して、隣のトイレに入っていった。