「もう一時間半も待ったわ。お腹がペコペコよ。早く注文しましょう」鈴木和香は片手で顎を支えながら、にこにこしながらメニューを来栖季雄の前に押し出した。
来栖季雄は鈴木和香をじっと見つめ、メニューに手を伸ばそうとしなかった。
鈴木和香はしばらく待ったが、本当にお腹が空いていたようで、メニューを手元に引き戻し、傍らに立っているウェイターに向かって、四品の料理と一品のスープを注文した。
ウェイターは鈴木和香の注文を復唱してから、「お飲み物はいかがいたしましょうか?」と尋ねた。
これまで来栖季雄と食事をする時は、たいてい茶か生搾りジュースを飲んでいたが、今回は首を傾げて少し考えてから、来栖季雄の意見も聞かずに勝手に決めた:「赤ワインを一本、ラフィットで」
「かしこまりました。少々お待ちください」ウェイターは注文を取り、丁寧にお辞儀をして立ち去った。