鈴木和香はポテトチップスを食べながら、企画書に目を通すと、食事の場所が東京都内の高級レストランばかりだと気づき、尋ねた。「この作品は東京で撮影するの?」
「ああ」
鈴木和香はそれらのレストランを一つ一つ確認し、パソコンの画面に表示されているレストランの名前を指差して言った。「ここなんてどう?窓から皇居が見えるし、夜に食事をすると景色が綺麗で、撮影したら迫力のある映像になると思う」
来栖季雄は再び「ああ」と答えると、鈴木和香は首を傾げながら、続きを読んでいった。「キャンドルディナーね、女の子は好きだし...花はブルーローズがいいわ、高貴な感じがするから。私はキキョウの方が好きだけど...洋食で...ワインと...」
来栖季雄は時々「ああ」と相槌を打ち、鈴木和香の意見を真剣に聞いているふりをしていたが、心の中では、彼女の言葉を一つ一つ静かに記憶していた。