第597章 私の愛する人、久しぶり(7)

この世界には、結局のところ絶対的に善良な人などいない。善良で純真なのは、ただ極限まで追い詰められていないからだ。

赤嶺絹代のせいで、彼女と来栖季雄は一度目も二度目も行き違ってしまった。もし彼女がいなければ、自分と季雄はもう一緒になっていたかもしれない。

我が子を失う悲しみ、恋人を引き裂かれる苦しみ……これほどの深い恨み、どうして見過ごせようか?

赤嶺絹代が彼女に負った借りは、最後には一つ一つ必ず取り返してやる。

彼女自身のためだけでなく、来栖季雄のため、そして亡くなった子供のために……

鈴木和香がここまで考えたとき、その目に鋭い光が宿り、いつもは優しく穏やかな顔にも背筋の凍るような冷気が漂った。

椎名家の居間で、赤嶺絹代に当てつけるように言った言葉は、決して単なる言葉だけではなかったのだ。