第597章 私の愛する人、久しぶり(7)

この世界には、結局のところ絶対的に善良な人などいない。善良で純真なのは、ただ極限まで追い詰められていないからだ。

赤嶺絹代のせいで、彼女と来栖季雄は一度目も二度目も行き違ってしまった。もし彼女がいなければ、自分と季雄はもう一緒になっていたかもしれない。

我が子を失う悲しみ、恋人を引き裂かれる苦しみ……これほどの深い恨み、どうして見過ごせようか?

赤嶺絹代が彼女に負った借りは、最後には一つ一つ必ず取り返してやる。

彼女自身のためだけでなく、来栖季雄のため、そして亡くなった子供のために……

鈴木和香がここまで考えたとき、その目に鋭い光が宿り、いつもは優しく穏やかな顔にも背筋の凍るような冷気が漂った。

椎名家の居間で、赤嶺絹代に当てつけるように言った言葉は、決して単なる言葉だけではなかったのだ。

赤嶺絹代は彼女の子供を死なせた。だから今度は、彼女に三十年近く育ててきた息子が自分から遠ざかっていく味を味わわせてやる。

周りの人々から見放され、親しい人々からも離れていく―それこそが、赤嶺絹代に用意した最後の結末だ!

だから、今夜は、ただの始まりに過ぎない。

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『神剣』のクランクアップの時期は、大晦日まであと五日という時期だった。赤嶺絹代の誕生日が過ぎ、鈴木和香の年末最後の忙しい日は旧暦の十二月二十八日で、午後には『神剣』の記者会見に出席し、夜には『神剣』の打ち上げパーティーに参加した。

二十九日、馬場萌子は彼氏と一緒に熊本県へ飛び立った。暇を持て余していた鈴木和香は自ら運転して二人を空港まで見送った。

年末が近づいていたため、東京都の車の数は三分の二近く減少し、道路は非常に空いていた。鈴木和香が途中まで運転していたとき、叔父から電話がかかってきて、今日中に鈴木家に帰るよう催促された。

鈴木和香は口では承諾したものの、結局大晦日の午後になってようやく鈴木家に戻った。

鈴木家の使用人たちは皆帰省していて、鈴木和香が到着したとき、鈴木夏美と鈴木夫人は餃子を包んでいた。

鈴木和香がドアを開けて、まだ靴も脱いでいないうちに、鈴木夏美の大きな声が聞こえてきた。「和香、早く餃子作りを手伝って!」