鈴木夫人は田中大翔のことをとても気に入っていて、自分の娘が彼と付き合い始めてからは、わざわざ田中大翔の映画を何本も見に行き、麻雀をする時にも、友達に自分の娘の彼氏の新しいドラマを頻繁に勧めていた。
そのため、餃子を作っていた鈴木夫人は、田中大翔が来たと知ると、わざわざキッチンから出てきて、田中大翔を座らせた。
鈴木家で大晦日の夕食が始まった時、ちょうど春節晩会も始まり、鈴木旦那はわざわざ音量を上げた。
ここ数年、春節晩会はネットユーザーにより年々質が落ちていると揶揄されているが、大晦日の夜の象徴となっていることは否定できず、やはり見ないと年の瀬の雰囲気が出ないものだった。
これまでの大晦日の夜は、食事の時は鈴木旦那一人が男性で、時々鈴木夏美が付き合って一緒に飲むことがあったが、今日は田中大翔がいるので、鈴木旦那は長年大切にしていた良い酒を一本取り出した。