第595章 私の愛する人、久しぶり(5)

「このことが鈴木家の人に知られたら、両家の関係が破綻する可能性が高いわ。今の椎名家は昔ほど力がないから、多くのことで鈴木家の力を借りないといけないのに……」

「彼女が知ったところで、どうなるというの?」赤嶺絹代は執事の言葉を最後まで聞かずに遮り、言った。「もし彼女に証拠があるなら、今夜鈴木家の人が私の誕生日を祝いに来るはずがないでしょう!証拠がないからこそ、遠回しに私を嫌がらせているだけよ!でも本当に腹立たしいわ。せっかくの誕生日が、彼女のせいでこんなにめちゃくちゃになって。あの時、階段から落ちた時に死んでくれればよかったのに……」

赤嶺絹代の言葉が終わらないうちに、閉まっていた部屋のドアが突然開かれた。

二人は同時に驚いて振り向くと、椎名佳樹が水の入ったコップを持って入り口に立っているのが見えた。表情は暗く重かった。