第650章 入籍(20)

林夏音は、とても面白い冗談を聞いたかのように、鼻で笑って言った。「本当にそんな力があるなら、鈴木和香さん、あなたの彼氏に電話して、ここに来てもらって、みんなに見せてくれないかしら?」

馬場萌子は先ほど、ただ怒りで頭が真っ赤になって、考えもせずに言葉を口走ってしまっただけだった。

林夏音にそう問い返されて、馬場萌子はようやく我に返り、鈴木和香の方を振り向いた。

実は彼女は嘘をついていなかった。鈴木和香は来栖季雄の正式な妻で、来栖季雄は確かに彼女が言ったような力を持っていた。ただし...先ほど軽率に言ってしまったことを、今来栖季雄を呼ばなければ、まるで自分が大げさに言っていたように見えてしまう。

しかも、撮影現場のほぼ全員がここで休憩していて、先ほどの一部始終を見ていた。