第672章 携帯の中のメッセージ(22)

「来栖季雄、あなた泥棒!」鈴木和香は来栖季雄のその言葉を聞いた瞬間、まるで毛を逆立てたように怒り、季雄を睨みつけて、彼の言葉を遮った。

ひどすぎる!

彼が勝手に彼女の結婚証明書を盗んで、離婚しようとするなんて!

鈴木和香は目をくるくると回し、そして突然、来栖季雄が手に持っていた赤い証明書を奪い取った。

来栖季雄は「要らないの?」と言おうとしたが、鈴木和香の「泥棒!」という言葉に一瞬呆然とし、我に返った時には、手に持っていた結婚証明書は既に彼女に奪われ、彼女は両手で赤い証明書を握りしめ、あたりを見回して、まるでどこかに隠せる場所を探しているかのようだった。

来栖季雄は鈴木和香のこの可愛らしい様子に思わず再び笑みを漏らした。

しかし彼の笑い声が収まる前に、鈴木和香が目をパチパチさせ、何かを思いついたかのように、突然手に持っていた結婚証明書をバリバリと二つに破り、さらにそれでも足りないとでも言うように、細かく破り続け、紙切れになるまで破ってようやく止めた。ゴミ箱に紙切れを投げ捨てようと手を伸ばしたが、突然止まり、まるで彼が紙切れを元通りに貼り合わせることを恐れるかのように、突然紙切れを自分の口の中に詰め込んだ。

「和香!」それまで愛おしそうに見ていた来栖季雄は、突然鈴木和香のこの行動に驚き、咄嗟に手を伸ばし、彼女の腕を掴んで自分の前に引き寄せた。「吐き出しなさい!」

鈴木和香は紙切れをさらに激しく口の中に詰め込み、喉を大きく動かして飲み込もうとする様子を見せた。来栖季雄は焦って何も考えられず、彼女の顎を掴んで顔を上げさせ、もう片方の手を彼女の口の中に入れ、中の紙切れを掻き出した。

来栖季雄は大半を取り出したが、まだ口の中に残っているかもしれないと思い、再び手を入れた。今度は紙切れに触れる前に、突然彼女は彼の指を強く噛みついた。

力が非常に強く、鋭い痛みが指先から全身に走った。

痛みを感じた来栖季雄は眉間にしわを寄せ、指を引き抜こうとしたが、手の甲に温かい一滴が落ちるのを感じ、瞬時に力を抜き、そのままベッドの端に立ったまま、動かずに彼女に噛ませていた。