第684章 携帯の中のメッセージ(34)

鈴木和香がクラブに入ると、招待状を差し出し、すぐにスタッフが水晶宮のように装飾された宴会場へと案内してくれた。中は華やかな照明に包まれ、柔らかなピアノの調べがBGMとして流れ、東京都の名家がほぼ全て集まっており、皆が優雅な装いで、知人同士が集まって談笑していた。

鈴木和香はヌードカラーのキャミソールドレスを着ていた。外套をスタッフに預け、クラッチバッグを持って入り口で周りを見渡すと、最後に数人の奥様方と一緒にワイングラスを持って談笑している鈴木夫人の姿に目が留まり、優雅な足取りでハイヒールを鳴らしながら近づいていった。

「おばさま」

鈴木夫人は声を聞くとすぐに振り向き、和香を見つけると親しげに手を伸ばして彼女の手を取った。「和香が来たのね?」

「はい」和香は近くのスタッフが持つトレイからワイングラスを一つ取り、おとなしく鈴木夫人の傍らに立ち、目の前の人々を一人一人紹介してもらった後、すぐにグラスを上げて挨拶を交わした。