第711章 スキャンダル(月票加更19)

アシスタントは口をきつく閉じた。

彼だって意地があるんだ、来栖社長、あなたが聞きたくないなら、私だって言いたくないわ!どうせ最後に苦しむのはあなたで、私じゃないんだから。

しかしアシスタントはそう思いながらも、表情はどこか気まずそうだった。

せっかくの好意なのに、感謝されないなんて!

しかし、アシスタントの隣に立っていた来栖季雄は、SNSを開き、馬場萌子が投稿したメッセージを見つけ、多くの「いいね」の後ろに自分も「いいね」を押した!

うん...やっと心のバランスが取れた。

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女性というものは、自分を好きな男性、そして自分が好きな男性に対して、多かれ少なかれ少しわがままになるものだ。

馬場萌子の言葉を借りれば、このちょっとしたわがままは女性の男性への依存であり、また男性の女性への甘やかしでもある。

鈴木和香は来栖季雄からの電話を七、八回続けて切った後、長い間積もり積もっていた様々な事柄への怒りはすでに消えていた。彼女は来栖季雄が次に電話をかけてきたら、出るつもりでいた。

しかし、誰が知っただろう、携帯は静かなままで、来栖季雄はもう電話をかけてこなくなった。

鈴木和香はまた不安になり始めた。さっきまでは来栖季雄の電話を切ったことは正当だと思っていたのに、今は自分が少し行き過ぎたのではないか、切った回数が多すぎたのではないかと反省せずにはいられなかった。

馬場萌子は高校時代から彼女と付き合いがあり、彼女の一挙一動をよく知っていた。ホッキ貝を噛みながら鈴木和香を見て、「自業自得よ。電話に出ないからでしょ、意地張るからこうなるのよ、自分で自分を追い込んだんじゃない...」と自業自得だという表情で言った。

馬場萌子はそこまで言うと、突然ある場所に視線を固定し、固まってしまった。

鈴木和香は眉間にしわを寄せ、「どうしたの?」と尋ねた。

鈴木和香は馬場萌子がまだ反応せず、ある場所をじっと見つめているのを見て、彼女の視線の先を追った。

馬場萌子が見ていたのは入り口だったが、特に変わったところはなかった...

鈴木和香が振り返って「馬場萌子、頭おかしくなった?」と言おうとした瞬間、青いスーツを着た来栖季雄が疲れた様子で韓国料理店に足を踏み入れるのが見えた。