第731章 来栖・鈴木夫婦(19)

彼女は母親の赤嶺絹代に対する延々と続く非難に対して、終始黙ったままだった。電話を切った後、その夜は一晩中眠れなかった。

鈴木和香は来栖季雄のことが好きなのだろう……彼女がそれを知ったのは、去年のクリスマス、来栖季雄が約2ヶ月姿を消した時だった。

あの日、鈴木和香は酔っぱらって、彼の名前をぶつぶつと呟いていた。そして大晦日の夜、鈴木和香は一人で鈴木家の庭の外にしゃがみ込んで泣いていた。すすり泣きの中で呼んでいたのも彼の名前だった。

なるほど、彼らは本当に愛し合っていたのだ。

来栖季雄だけの一方的な思いではなかったのだ。

もし去年、来栖季雄が彼女に鈴木和香の居場所を尋ねた時に教えていたら、来栖季雄と鈴木和香は擦れ違いや別離を避けられたのだろうか?

来栖季雄のWeiboの投稿からそれほど時間が経っていないのに、すでにトップニュースになっていた。ネットユーザーの注目は全て彼と鈴木和香に集まっていた。