司会者は口に出かかった言葉を飲み込み、笑いながら口を開いた。「松本さん、どうぞ」
松本雫は自分の前のマイクを少し口元に近づけ、咳払いをしてから話し始めた。「番組側が私に決勝戦のゲストとして機会を与えてくださったことを嬉しく思います。そこで皆さんに特別なサプライズを用意しました。決勝戦の終了まであと一人の出演者を残すのみですが、その前に番組の10分間をお借りして、このサプライズをお見せしたいと思います。よろしいでしょうか?」
司会者は明らかに松本雫のこの要求に戸惑った様子で、反射的に隣に座っている幹部の方を振り向いた。事前に相談していなかったため、幹部も松本雫の突然の要求に少し驚いた様子だった。
松本雫は幹部が反応する時間を全く与えず、マイクを持って立ち上がり、後ろに座っている観客に向かって手を振りながら続けた。「今夜お越しの皆さん、私が用意したこのサプライズを楽しみにしていますか?」