鈴木夏美の目は、少し虚ろになった。
漆黒の瞳が、無力で混乱したまま揺れ動いていた。
どうしてこんなことに……彼女はもう母親になる資格すら失ってしまった……これは過去の過ちに対する天罰なのだろうか?
夏美は突然、声を上げて泣き崩れた。
どれくらい泣いていたのか、夏美自身もわからなかった。ドアの音が聞こえると、慌てて泣き声を抑え、布団に顔を埋めた。
入ってきたのは看護師だった。ベッドに近づいて様子を見ると、おそらく夏美がまだ眠っていると思ったのか、少しの間だけ立ち止まってから出て行った。
ドアが閉まると、夏美は布団から顔を上げた。彼女の顔にはまだ涙が流れ続け、目は真っ白な天井をぼんやりと見つめ、頭の中は真っ白だった。
看護師が病室に来たのは、夜の7時だった。
夏美の顔の涙はすでに乾き、目の縁が赤くなっているだけで、注意深く見なければ、泣いていたことはわからなかった。
「鈴木さん、お目覚めですか?」看護師はまず夏美に優しく微笑みかけ、持ってきた食事をテーブルに並べ、夏美の前に置いた。「ちょうど夕食の時間ですね。後ほど下げに参ります」
夏美は軽く頷いただけで、声も出さず、箸にも手を伸ばさなかった。
約1時間後、看護師が食器を下げに来ると、夏美が全く食事に手をつけていないのを見て、心配そうに尋ねた。「鈴木さん、何も召し上がっていませんが、どこか具合が悪いのですか?」
夏美は疲れた表情で首を振り、看護師に食事を下げるよう合図しようとした矢先、病室のドアが開き、付添人の礼服を着た田中大翔が入ってきた。
「田中様、お戻りになられましたか?」看護師は振り向いて大翔に挨拶し、続けて言った。「鈴木さんが何かあったのか、夕食をほとんど召し上がっていないんです」
大翔は眉間にしわを寄せ、ベッドに近づいて食事に手を触れ、冷めているのを確認すると、看護師に新しいものと交換するよう頼んだ。そしてベッドの端に腰掛け、夏美の額に手を当てて熱がないことを確認し、ようやく安堵の息をついた。彼の声は優しく響いた。「どうして夕食を食べなかったの?口に合わなかった?それとも体調が悪い?」