鈴木夏美の怪我はまだ完全に治っておらず、結婚式が終わり、披露宴を済ませると、病院に戻らなければならなかった。
鈴木和香の結婚式で、夏美は帰ることになり、親族である鈴木旦那と鈴木夫人は残るしかなかった。本来なら田中大翔は夏美と一緒に行くつもりだったが、最終的に夏美に止められた。彼女は病院に戻っても寝るだけだから、もう少しここで楽しんでいて、夜に来ても遅くないと言った。大翔は夏美の願いを聞き入れて同意したが、それでも自ら夏美を抱き上げて車に乗せ、シートベルトを締める際に、ついでに彼女の唇にキスをした。
夏美は大翔の首に腕を回し、甘えるように更にもう一度キスをしてから、彼を離した。
車が出発してからもかなりの間、夏美はバックミラーを通して、ホテルの入り口に立ち続ける大翔の姿を見ることができた。
彼女の顔には明るく幸せな笑顔が広がっていた。
天は結局彼女に冷たくなかった。死なせることはなかった。彼女は元々大翔と五月一日に結婚する予定だった。怪我が治って退院したら、本当に彼と彼女の結婚式の準備ができる。そのとき、彼女も和香のように幸せになれると思った。そして、彼女も心を落ち着けて体を養い、和香のように、彼女と大翔の小さな赤ちゃんを授かりたいと思った。
ただ、唯一残念なのは、姉である彼女が産む子供が、和香の子供をお兄ちゃんかお姉ちゃんと呼ばなければならないことだった!
病院に戻ると、夏美は疲れ果てていた。医師が彼女の体を検査すると、傷口が少し開いている兆候があったが、深刻ではなく、処置をしてからは大きな問題はなかった。
点滴を受けると、夏美はすぐに深い眠りに落ちた。和香の結婚式の影響なのか、彼女は夢を見た。自分と大翔の結婚式の夢だった。そして最後には目尻を下げて微笑みながら目を覚ました。窓の外はすでに夕日が沈みかけており、点滴はいつの間にか看護師によって外され、絆創膏が二つ貼られていた。
夏美は怠そうに体を動かし、枕元の携帯電話を手に取った。大翔に電話をかけて、今の結婚式の様子を聞こうと思ったが、番号を見つける前に病室の外から看護師の小声が聞こえてきた。「あなたが担当しているこの患者さん、本当に刃物で子宮を傷つけられて、妊娠できなくなったの?」