来栖季雄は鈴木和香に浅い笑みを返し、ついに手を伸ばして彼女を抱きしめ、頭を下げて深く彼女の唇を塞いだ。
皆の視線の中で、彼女に深いキスをした。
和香は腕を上げて季雄の首に回し、ぎこちなく季雄のキスに応えた。
きらびやかなシャンデリアが回り続け、特殊効果の花びらが舞い続ける。
ステージの真ん中で男性と女性が、周りを気にせず深くキスを交わしていた。
あの青春の歌が、ずっと繰り返し流れ続けていた。
何度目かの最後のフレーズが流れるまで、二人はようやく名残惜しそうに離れた。
「幸いにもお互いの青春を見逃さなかった。私の若い頃には君がいて、君の青春には私がいた」
会場はまだ静まり返っていた。
季雄は少し身をかがめ、額を和香の額につけ、歌詞に合わせて言った。「私の若い頃には君がいた」
「私の青春には君がいた」和香はすぐに続けて口を開き、歌詞の主語と述語の順序を少し変えた。
誰が最初に拍手をしたのかわからないが、その後、拍手が潮のように沸き起こった。
季雄は和香をしっかりと抱きしめた。
私の若い頃には君がいて、君の青春には私がいた。
彼は彼女の若い頃の最も美しい思い出であり、彼女は彼の青春の中で最も鮮やかな夢だった。
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季雄と和香の結婚式には、メディアは一切招待されていなかったが、どこからともなくゲストの一人がスマートフォンで動画を撮影し、ネットにアップロードした。
わずか2時間で、2つのトピックがトレンド入りした。
【来栖・鈴木夫婦挙式】と【来栖・鈴木夫婦愛の表現】。
【来栖・鈴木夫婦挙式】というトピックには、和香と季雄の結婚式の高画質写真が数枚掲載されており、まるで夢のように美しいシーンが、すべての人のロマンチックな心を打った。
【来栖・鈴木夫婦愛の表現】というトピックには、和香と季雄が言い争う動画があった。最初は皆が笑い話として見ていたが、最後には多くの人が涙を流した。
それは単に彼らの13年間の愛に感動して泣いたのではなく、自分自身の青春時代に同じように経験したことに感慨深く泣いたのだ。
誰もが青春時代を過ごし、誰もがその時期に初恋を経験し、誰もが反抗的で若気の至りの時代に狂ったように誰かを愛した。しかし、誰が最後まで愛し続けることができただろうか?