第52章 冬木空の見舞い、甘すぎる

鈴木知得留は病院に入院していて、根岸史子が来たほか、鈴木友道だけが彼女に付き添っていた。

実は鈴木知得留は、父親が今日家で言った言葉は全て怒りに任せたものだと分かっていた。彼女の事故を知った時はさぞ心配したはずで、根岸史子もそれを見て取って真っ先に駆けつけたのだ。まさに善人を演じ切っている!

夜、鈴木知得留が寝ようとしていた時、鈴木友道も隣の付添いベッドに横たわっていると、突然ドアが開いた。

鈴木知得留は白衣を着て医療用マスクをした二人の医師が入ってくるのを見た。回診だと思って気にも留めなかったが、一人の白衣の男が彼女の前に立ち、通常の診察の言葉も発せずにじっと見つめてきたので、居心地が悪くなった。

その時、鈴木知得留は彼の目をはっきりと見た。

認めざるを得ないが、冬木空は本当に人の心を捉える目を持っていた。深い瞳、美しい二重まぶた、長い睫毛。