病室で、鈴木知得留は新しいボディーガードと知り合い、退院した。
病院の正面玄関で、上野和明は道明寺華に言った。「私は先に行くが、華は今後、主人をしっかり守るんだぞ」
「はい、師匠」道明寺華は深々と頭を下げた。
鈴木知得留は「主人」という呼び方を聞くたびに鳥肌が立った。
彼女は上野和明に向かって言った。「和明お兄さん、せっかく帰ってきたんだから、一緒に食事でもしていきませんか」
上野和明は鈴木知得留を見つめた。
気のせいではない。これは上野和明が病室に入ってから初めて彼女をまともに見た瞬間だった。
記憶の中の上野和明はこんなに冷たくなかった。子供の頃、彼女の家に帰ってきた時は、一緒に遊んでくれたものだ。でも考えてみれば、今の上野和明は軍隊で何年も過ごしているのだから、性格が硬くなるのも当然かもしれない。