第70章 2審(6)潔白を取り戻す(4更)

法廷で、鈴木知得留は田中さんに考える時間を与えなかった。

彼女は藤田文に別の映像を再生させた。

鈴木知得留は口を開いて言った。「この映像は鈴木邸の裏庭にある台所の一角で撮影されたもので、この場所は鈴木家の内部監視カメラでは撮影できない場所です。この映像は私たちの家の別の使用人、村上春から提供されたもので、映像には田中穂が山田幸子に何かを渡している様子が映っています。田中穂が手に持っている薬局の袋は、中絶薬であることが確認できます。また、この映像を撮影した村上春も法廷に呼んでいます。」

「証人を呼び出してください。」

鈴木知得留が頷くと、春が法廷に入ってきた。

鈴木知得留は尋ねた。「春さん、怖がらないで。あなたが見たこと、経験したことを話してください。」

「はい、お嬢様。」春は深く息を吸い、多くの人々の前で緊張しながら話し始めた。「3月28日の午後、私はお嬢様のお宅で掃除をしていたとき、田中さんが外から慌てて戻ってきて、何かを抱えていました。そして、私と一緒に掃除をしていた幸子さんを呼び出して、何か様子がおかしかったので、こっそりと後をつけました。そして、田中さんと幸子さんのこの場面を目撃しました。以前、お嬢様から田中さんに注意するように言われていたので、撮影しておきました。」

「なぜこれらの映像を早く提出しなかったのですか?」鈴木知得留は尋ねた。

「距離が遠くて彼女たちが何を話しているのか聞こえなかったので、何をしているのかわからず、証拠にならないと思いました。それに冬木若旦那が私を見つけた時、お嬢様の判決が確定したと思い、これを提出して田中さんに知られたら鈴木家から追い出されるのではないかと心配でした。後に冬木若旦那が何度も説得してくれて、私は役に立たないと思っていたのですが、提出することにしました。」春は話し終えると、恥ずかしそうに言った。「申し訳ありません、お嬢様。」

「あなたの気持ちはわかります。」鈴木知得留は微笑んだ。

春の立場としては、自分の仕事を守りたかっただけだった。結局、彼女がいなくなれば、田中さんに頼らざるを得なくなるのだから。