第61章 乙女の恋心(2番目)

その日の午後。

鈴木知得留は鈴木山からの電話を受けた。

判決が出たら控訴審を申請できるとのことで、内部手続きの関係で控訴審の日程がすでに決まっていた。来月10日、つまりあと15日後だ。

知らせを受けると、彼女は冬木空に電話をかけ、すぐにこの情報を共有したかった。

これは...乙女の恋心?!

鈴木知得留は冬木空のだらしない、でも魅力的な声を聞くのが楽しみだった。

しかし、相手の応答は良くなかった。「何の用だ?」

鈴木知得留は傷ついた。

彼女の熱意は一気に冷水を浴びせられたようだった。

鈴木知得留の沈黙に、向こうは眉をひそめ、冬木空は「何かあったのか?」と尋ねた。

今度は明らかに口調が柔らかくなっていた。

「控訴審の日程が決まったから、先に教えたくて。来月10日よ」鈴木知得留は元気なく言った。

「ああ」冬木空は短く返事をした。

鈴木知得留が電話を切ろうとした瞬間、冬木空が突然口を開いた。「寝てたんだ」

さっきの不機嫌な態度の説明のようだった。

鈴木知得留は彼の説明を聞いてさらに不機嫌になった。「忙しいって言ってたじゃない?寝るのに忙しかったの?」

彼女と食事するよりも寝ることを選んだの?!

「目の充血と隈が何故できたのか、鈴木さんにはお分かりにならないのですか?」冬木空は尋ねた。

鈴木知得留はハッとした。

彼の言葉の意味は、昨夜彼女の件で全く休めなかったということ?

だから今日は睡眠を取り戻そうとしていたのだ。

そして冬木空の性格からして、徹夜でもしなければ、こんなに疲れているはずがない。

そうか。

彼女は再び感動してしまった。

携帯をしっかりと握りしめ、「ゆっくり休んで」と言った。

「ああ」

電話を切る。

鈴木知得留は電話を見つめながらぼんやりしていた。

明らかに幸せに満ちあふれている様子だった。

鈴木友道は彼女の様子を見て、「姉さん、よだれが出そうだよ」と言った。

鈴木知得留は弟を睨みつけた。

「控訴審で減刑されても、冬木家があなたを受け入れないかもしれないって心配しないの?」鈴木友道は尋ねた。

先ほど事件について話し合う時、鈴木知得留は意図的に鈴木友道と道明寺華を避けた。彼らを信用していないわけではなく、余計な問題を避けたかっただけだ。

知る人が少なければ少ないほど、トラブルも少なくなる。