その日の午後。
鈴木知得留は鈴木山からの電話を受けた。
判決が出たら控訴審を申請できるとのことで、内部手続きの関係で控訴審の日程がすでに決まっていた。来月10日、つまりあと15日後だ。
知らせを受けると、彼女は冬木空に電話をかけ、すぐにこの情報を共有したかった。
これは...乙女の恋心?!
鈴木知得留は冬木空のだらしない、でも魅力的な声を聞くのが楽しみだった。
しかし、相手の応答は良くなかった。「何の用だ?」
鈴木知得留は傷ついた。
彼女の熱意は一気に冷水を浴びせられたようだった。
鈴木知得留の沈黙に、向こうは眉をひそめ、冬木空は「何かあったのか?」と尋ねた。
今度は明らかに口調が柔らかくなっていた。
「控訴審の日程が決まったから、先に教えたくて。来月10日よ」鈴木知得留は元気なく言った。