第74章 2審(10)まだ田村厚が!(4更)

相変わらず厳かな法廷。

冬木空は傍聴席に座り続け、薄く唇を噛み、いつものように冷淡な表情を浮かべていた。

今もそうだった。

深い瞳、長い睫毛がわずかに揺れた。

淡々とした眼差しで鈴木知得留を見つめ、彼女の真っ赤な目を見つめていた。

法廷で。

裁判長は威厳のある声で言った。「根岸佐伯さん、他に何か言うことはありますか?」

根岸佐伯は唇を噛み、首を振った。

その瞬間、もう反論する力がないことを悟ったようだった。

すべての事実が揃っており、むしろ鈴木知得留を陥れた時の証拠よりも充実していて、もはや言い逃れる余地はなかった。

彼女には想像もつかなかった。なぜ最後にこうなってしまったのか。

ただ鈴木知得留を陥れたかっただけなのに、すべてを完璧にやったはずなのに、なぜ鈴木知得留はこんなにも賢く、自分の潔白を証明する証拠を数多く見つけ出し、さらには彼女を告発することができたのか。

根岸佐伯は苦しかった。

涙が止めどなく流れ落ちた。

長年演じてきた良い子のイメージが、この瞬間、大勢の前で、こんなにも惨めに打ち砕かれた。

もはや顔を上げることすらできなかった。

この事件が広まった後、世間からどれほど非難されるか想像できた。

彼女は唇を強く噛みしめた。

その時、根岸佐伯の弁護士である加藤健が突然口を開いた。「裁判長、事態が急転したため、私の依頼人も、裁判長も陪席判事の皆様も、予期せぬ展開だったと思います。そのため、再審理の延期を申請させていただきます。」

裁判長は少し考えてから同意した。「承知しました。ただし、容疑者根岸佐伯は法的手続きに従い、関係機関による勾留の上、審理を待つことになります。」

「はい。」加藤健は頷いた。

これが今、依頼人のためにできる唯一のことだった。

また、この裁判についてじっくり考える時間も必要だし、依頼人の刑を少しでも軽くする方法も考えなければならなかった。

「被告人鈴木知得留さん、他に何か言うことはありますか?」裁判長は彼女に向かって尋ねた。

「はい。」鈴木知得留は答えた。

全員が彼女に注目した。