書斎にて。
鈴木山は大変驚いていた。
「私も驚いています」鈴木知得留も多くを語らなかった。
全ての推測は確実な証拠を掴んでから父親に伝えようと思っていた。一つには父を心配させたくないため、もう一つは事を荒立てたくないためだった。
今では父の周りに一体どれだけのスパイがいるのかさえわからない状況だった。
「おばさんは知っているのか?」鈴木山は心配そうに尋ねた。
「今のところ知らないと思います」鈴木知得留は言った。心の中では皮肉っぽく、最初に知ったのはきっと根岸史子だろう!と思っていた。
「おばさんは体が弱いから、まだ言わないでおこう。私が事態を解決してから。ゆっくりとおばさんに話そう」
「はい」
鈴木山は急いで立ち上がって出て行った。
鈴木知得留はため息をついた。
根岸史子の正体が暴かれた時、父が大きなショックを受けて立ち直れなくなることが心配だった。
彼女は部屋に戻った。
冬木空に電話をかけた。
結婚式の延期について...彼に説明しなければならなかった。
彼女は電話番号を押した。
冬木空が電話に出た。「鈴木さんは一日中私のことを考えているようですね」
「そうよ、あなたのことばかり考えて考えて、毎分毎秒考えてる。天地がひっくり返るほど食事も喉を通らないわ」鈴木知得留は呆れた様子で言った。
冬木空は大きな声で笑った。
鈴木知得留には理解できなかった。冬木空のやつ、どうしてこんなに腹立たしいのだろう。
「とても深刻な話があるの」
「うん」
「父が私たちの結婚式を少し延期したいって。今うちは色々と落ち着かないから、少し様子を見たいって」
向こう側が黙り込んだようだった。
きっと冬木空は考えているのだろう。あれだけ尽くしたのに、結局損をしたと。
「待ちきれないなら、先に体を差し上げてもいいわよ」鈴木知得留は真剣に言った。
冗談ではなかった。
前世でも経験済みだし、遠慮することなんてないじゃない。
「鈴木さんはそんなに待ちきれないんですか?」
「あなたを安心させようと思っただけよ」
「僕は軽々しくそういうことはしません」
「恋人同士でキスしたり、ベッドを共にするのは普通のことじゃない?」今は21世紀なのに、どうしてこんなに制約があるの。
それに今では婚前同棲を「結婚の予行演習」と美化して、流行っているのに。