北村忠は落胆した。
誰が彼は冬木心のことが好きだと言ったのだろう。
冬木心のような女が、兄のような素晴らしい人を選ばずに、貧乏な学生を好きになるなんて?!そんな愚かな人間には興味がない。
北村忠はパーティー会場へ向かった。
もちろん、友人たちの前で面子を失うわけにはいかない。
以前は冬木心のために命を懸けていたなんて、考えるだけで恥ずかしい。
彼は周りを見渡した。
くそっ、高橋武雄はどこに行ったんだ!
遠くに鈴木知得留を見つけ、近づいて尋ねた。「あなたのボディーガードの電話番号は?」
鈴木知得留は不思議そうな顔をした。
北村忠は言った。「緊急事態なんだ。」
鈴木知得留は北村忠に電話番号を教え、慌てて去っていく彼に声をかけた。「人殺しや放火なんかを道明寺華にさせないでよ!」
「僕は善良な市民で法は破らないよ。」北村忠は歩きながら言い捨てた。
彼は歩きながら道明寺華に電話をかけた。
「華、僕だ、北村忠。裏庭に来て、今すぐ!」
道明寺華は携帯の「通話終了」の表示を見て呆然とした。
北村忠は裏庭に戻った。
冬木心はまだいた。
彼は思わずほっとして、見なかったふりをして友人たちの中に入った。「彼女はもうすぐ来るよ。」
友人たちは全く信じていなかったが、暴露することもなく、また雑談を始めた。
しばらくしても、道明寺華は来なかった。
ある友人がからかった。「君の彼女は恥ずかしがり屋なの?」
「そうかもね。」北村忠は笑った。「催促してみるよ。」
心の中では少しイライラしていた。
この道明寺華め、死にたいのか。
彼は電話をかけた。
相手が出て、「華、まだ来ないの?」
声は無理やり優しくした。
道明寺華は何に対しても特に平静を保っていた。彼女は言った。「裏庭がどこにあるのかわからないんです。」
何度も回ったが、本当に見つからなかった。
北村忠はその瞬間、罵りたい衝動に駆られた。
くそっ、バカなのか?裏庭は一つしかないし出口も一つなのに、見つけられないなんて?!
彼は我慢して、相変わらず優しい声で、「じゃあ、迎えに行くよ。」
電話を切って友人たちに言った。「あぁ、うちの天然さん、道に迷ったみたいで。」
友人たちは笑いながら黙っていた。
北村忠はまた会場に戻り、電話をかけながら尋ねた。「位置は?」