彼女たちはショッピングモールを出て、パーティー会場に到着した。
夜が訪れ、パーティー会場は市街地からやや離れた高級リゾートホテルに設定された。周囲は暗闇に包まれ、その建物だけが光り輝き、まるでおとぎ話のお姫様の城のように、きらびやかだった。
車は正面玄関に停車した。
スタッフが丁寧にドアを開け、鈴木知得留を招き入れた。知得留は車を降り、道明寺華に言った。「鍵を彼らに渡して、私と一緒に入りましょう」
道明寺華は言われた通りにした。
鈴木知得留は道明寺華を連れて中に入った。
ホールはすでに人で溢れかえっており、皆が華やかなドレスを着て行き交い、互いに知り合い、理解し、会話を交わし、あるいは競い合っていた。
鈴木知得留が入るとすぐに。
冬木空が目に入った。
シルバーグレーのスーツを着て、目を見張るほど印象的だった。
冬木空も彼女を見つけた。
彼は彼女の方へ歩み寄った。
鈴木知得留は嬉しそうに冬木空の腕に手を添えた。
離れる時、道明寺華に言った。「あなたは食事コーナーで食べていればいいわ。誰かに聞かれても、ただ微笑むだけでいいから」
道明寺華は素直な性格だった。
彼女は遠くの食事コーナーを見て、そのまま向かった。
好みの野菜料理を数品選んだところで、どこか聞き覚えのある声が耳元で響いた。「君は高橋武雄の華じゃないか?」
道明寺華は北村忠を見た。
北村忠も今日は正式な黒いスーツを着て、とても落ち着いて見えた。
「マジか、本当に君か。こんな格好して、頭おかしくなったのか」北村忠は遠慮なく言った。
実は内心では、不思議と似合っていると思っていた。
道明寺華は料理を持ったまま北村忠を通り過ぎた。
「おい、一言言っただけで怒るのか?子犬にしては随分と気が強いな」北村忠は独り言を言った。
その後気にせず、自分の好きな物を食べ始めた。
彼は会場を見渡した。
うん、冬木心のことは見ないようにしよう。
あの女は世界一の美人でもない。
むしろあっちの女の方が良さそうだ。
待てよ。
あれは鈴木知得留じゃないか?
鈴木知得留が腕を組んでいるのは冬木空じゃないか?
冬木空は暇がないと言っていたのに、また鈴木知得留という妖精に誘惑されたのか!
まったく、狐と妖精が一家になるなんて!
この「狐」一家と言えば。