第108章 鈴木知得留の鋭さ(2)5更

会議室で、全員が息を殺して鈴木知得留を見つめていた。

鈴木知得留も静かに自分の感情を整えた。これだけ多くの人の前で、やはり少し怖気づいていた。

幸い、彼女は数年多く生きていたおかげで、物事を冷静に受け止められるようになり、恐れることもなくなっていた。

彼女は口を開いた。「先ほど第三部門から提案された海上ホテルプロジェクトについて、個人的には実施は難しくないものの、実際の運営は容易ではないと考えます」

青木太一は眉を少し上げ、興味を示した様子で「続けて」と言った。

「私の個人的な見解では、単なるホテルのために遠方まで足を運ぶ人はいないでしょう。宿泊施設だけでは十分な魅力がありません。また、このホテルの一泊の料金は安くないはずで、大多数の人々には手が届かないでしょう。そのため、人気を集めるのは難しく、周辺の発展も見込めません。ホテルプロジェクトは目玉にはなりますが、収益を生む要因にはなりません。ビジネスの観点から見ると、割に合わないと思います」

一言で、田村厚のアイデアを完全に否定してしまった。

田村厚はその瞬間、顔が青ざめた。

三つの部門が互いに批判し合うのは日常茶飯事だったが、今日は青木さんがいるため、皆が遠慮していた。しかし、鈴木知得留がこれほど大胆に発言するとは予想外だった。

「鈴木さんには何か良いアイデアがあるのですか?」田村厚は席から立ち上がった。「あなたの目から見れば、ホテルプロジェクトは割に合わない事業だとのことですが、鈴木さんの部門が提案する免税ショッピングモールなら人気を集められるというのでしょうか?単なるショッピングモールだけでは、理想論すぎるのではないでしょうか」

これだけの重要人物の前で、新人同士が言い争いを始めたことに、出席者全員が冷や汗をかいた。

「だからこそ、私の部門にはまだ未熟なアイデアがあります。本来なら楠木部長が完成させてから提出する予定でしたが、普段青木さんにお会いする機会が少ないと聞いており、青木さんのご指導を受けたいという切実な思いから、このような良い機会を逃したくありませんでした」と鈴木知得留は説明した。

一方では青木さんへの敬意と尊敬を表現し、もう一方では田村厚が未熟な案を提出したことを皮肉り、田村厚と彼の部門の仕事に対する無責任さを暗示し、楠木観月のために少しばかり面目を取り戻した形となった。