第101章 なるほど、復讐って本当に快感があるんだ!

斎藤咲子は道明寺華を連れて別荘に戻った。

ホールに入ったばかりのとき。

渡辺菖蒲がソファーから立ち上がり、何も言わずに手を上げて斎藤咲子の顔を平手打ちしようとした。

その瞬間、咲子はいつものように耐えようと思った。

同時に、一本の手が彼女の前に現れ、素早く渡辺菖蒲の手首を掴み、強く押し返した。

渡辺菖蒲は不意を突かれ、数歩後ろに下がった。

村上紀文が後ろから支えなければ、今頃は仰向けに倒れていただろう。

渡辺菖蒲は斎藤咲子と、その傍らの道明寺華を睨みつけた。

斎藤咲子は何も言わず、道明寺華を連れて2階へ向かった。

「斎藤咲子」渡辺菖蒲が呼び止めた。「私を警察に通報したのね?!」

斎藤咲子は無視した。

具体的な事情は、彼らにはよく分かっているはずだと思った。

説明する必要はない。

「私を告発できると思ってるの!」渡辺菖蒲が後ろから怒鳴った。

できるかどうかは、法律が決めることだ。

彼女は道明寺華を連れて部屋に戻った。

「今夜は私と一緒に寝るけど、慣れない?」斎藤咲子は道明寺華に尋ねた。

「大丈夫です」彼女はどこでも眠れる。

武道館でも個室はなく、よく師兄弟と一緒に寝ていた。

「パジャマを用意するわ」斎藤咲子が言った。

道明寺華に対しては、やはり丁寧に接した。

「はい」

斎藤咲子は道明寺華にパジャマを渡し、お風呂に行かせた。

道明寺華は素直にバスルームへ向かった。

斎藤咲子は部屋で、道明寺華が出てくるのを待っていた。

突然ドアが開いた。

今日の午後に村上紀文に蹴られて壊れたため、鍵はまだ取り替えていなかった。

考えてみれば、取り替えても意味がないのかもしれない。

彼女は村上紀文を見た。

「話をしよう」村上紀文が言った。

「何を?」斎藤咲子は冷笑した。

かつて村上紀文が「話をする」という言葉を使うとは。

「母を告発することについてだ」

「話すことはない」斎藤咲子は拒否した。

「何が欲しいのか言ってくれ」村上紀文の口調は良くなかった。

「渡辺菖蒲に刑務所に入ってもらいたいわ」

「斎藤咲子!」村上紀文は歯ぎしりした。

「出て行って、休みたいの」

村上紀文は去らず、大股で入ってきて、威圧的な態度で斎藤咲子を睨みつけた。

斎藤咲子は彼を見ようとしなかった。