楠木観月はそのまま陸田和樹と鈴木知得留のやり取りを見つめていた。
この時、管理職の人たちでさえ、このような大物に気軽に話しかけることはできなかったが、鈴木知得留だけは自然にできていた。誰もが緊張するような場面でも、彼女は平然としていた。
楠木観月は密かに唇を噛んだ。
彼女は昔から群れることが苦手だった!
だから常に実力で自分を表現しようとし、表面的な付き合いなど必要ないと自分に言い聞かせ、媚びを売る人々を軽蔑していた。
しかし今。
今、彼女は鈴木知得留に対して、露骨な嫉妬を感じていた。
波のように押し寄せる嫉妬が、彼女の心を歪めていった!
簡単な挨拶の後、陸田和樹は先に退席し、斎藤夏という担当者が彼らの案内を任されることになった。
一行は初日、会社でマリンレジャー事業についての説明を受けた。背景、実施計画、予算、安全対策、収益予測などについて詳しく聞いた。二日目、つまり北洋国に来て四日目には、プロジェクト担当者が現地視察に案内し、全員がマリンレジャーを体験した。その後数日間は周辺経済の発展や都市開発についても視察を行った。
理解を深めれば深めるほど、このプロジェクトの成功に感服せざるを得なかった!
楠木観月の心は益々穏やかではなくなっていった。
明らかに、このプロジェクトは彼女が主役になれるはずだったのに、鈴木知得留に全ての利点を奪われてしまった!
このプロジェクトについて第一グループとの交流は丸五日間続いた。
北洋国に来て八日目、鈴木知得留はホテルの会議室で現地での意見交換会を開催した。企業と共に見聞きしたことについての感想を述べ合い、アイデアを出し合って、日本国の経済区建設の基調を定め、帰国後の計画立案や企業入札に備えた。
八日目の夜、第一グループから熱心な夕食の誘いがあった。翌日は飛行機があるため、全員にゆっくり休んでもらおうと考えていたが、郷に入れば郷に従えというように、ビジネスの場では交流や付き合いが必要なため、当然受け入れることになった。
夕食会は海上レジャー施設の豪華クルーザーで行われた。