軍艦の甲板の上。
周りは全て軍人だった。
鈴木知得留と上野和明は片隅に立っていた。
鈴木知得留は心配そうに尋ねた。「和明さん、足は大丈夫?」
「問題ない。心配しないで」上野和明は気にしていない様子だった。
「無理しないでね」
「これは小さな傷だよ。軍人なら怪我は避けられない」
「でも、今回は私のせいで…」鈴木知得留は自責の念に駆られた。
上野和明は彼女を見つめた。
この危険な旅のせいで、彼女の顔にも傷跡がいくつも残っているのを見た。
彼は唇を噛んで、視線を逸らした。
「知得留、話があるんだ」と彼は言った。
「うん」鈴木知得留は彼を見つめた。
「君のお父さんから連絡を受けて、君を探しに来たんだ。実は、お父さんも直接来たがっていたけど、ここは危険だと思って、家で待っていてもらうことにした」