第123章 出張(3)嫉妬を買う

ホテルの会議室。

出席者全員が熱心に耳を傾けていた。

鈴木知得留も非常に生き生きと話していた。

楠木観月は席に座り、鈴木知得留の様子を見ていた。

彼女は知得留がこれほど表現力があるとは知らなかった。まるで初めて職場に入った人とは思えないほどだった。もし鈴木知得留の実際の年齢を知らなければ、彼女をキャリアウーマンだと思っただろう。そうでなくても、経験豊富な女性だと思っただろう。

しかし実際は、鈴木知得留はわずか22歳、大学を卒業したばかりだった。

彼女も22歳の時に商業管理機構に入ったが、鈴木知得留のような落ち着きと大人びた雰囲気、成熟した安定感は絶対になかった。

そう認識すると、心中穏やかではなかった。

さらに...今回の出張は、また鈴木知得留の評価を上げることになってしまった。

結局のところ、東京の全ての大財閥や大企業の幹部が来ていて、鈴木知得留が主催する会議に出席することで、皆が自然と彼女の商業管理部での地位を認めることになる。これからはこの人たちが彼女にひどく取り入るだろう。

そう考えると、嫉妬で胸が張り裂けそうだった。

楠木観月は幼い頃から成績優秀で、何事も人より優れていなければならず、誰かが自分より優秀であることを受け入れられなかった。人々から褒められ、認められ、おだてられることに慣れていた。

そして会場で嫉妬していたのは彼女だけではなかった。

田村厚もいた。

田村厚の場合は嫉妬というより憎しみだった。

彼は鈴木知得留が目の前でこんなにも威張り散らしている様子に我慢できなかった。突然彼女に裏切られ、理由も分からず振られたことで恨みを抱き、いつか彼女を土下座させてやりたいと思っていた。最高の地位まで這い上がって、かつて自分を見る目がなかったことを後悔させてやりたいと必死だった。どうやって彼女を辱め、みっともない姿を晒し、自分の胸のつかえを晴らすかばかり考えていた!

しかし今や、鈴木知得留は至る所で威風堂々としており、彼を押さえつけている。彼女を追い越して輝くどころか、成長する余地すら与えられていない。この女を殺してやりたいほどだった!

しかし結局のところ。

我慢するしかなく、強引に笑顔を作って何も悟られないようにしなければならなかった。

打ち合わせは午前中いっぱいかかった。

昼食は全員で一緒に取ることになった。