第159章 災いを転じて福となす(その1)

会議室の中で、楠木観月は一言一句、「申し訳ありません、私があなたを誤解していました」と言った。

その言葉が出た瞬間、会場は騒然となった。

いつになったら、楠木観月がこんな風になるのか。この女性は商業管理部に入ってから、一般社員であろうと管理職になろうと、常に理不尽で高慢で、誰をも見下すような態度だった。いつになったら、誰かに弱みを握られるのか?!

ついに頭を下げた瞬間、会議室の中で密かに喜んでいる人がどれほどいたことか。

鈴木知得留は軽く笑って、「大丈夫です。ただ、楠木部長には今後、物事を一面的に見ないでいただきたいですね。それと、自分の部下のことをもっと深く理解して、他人の能力を簡単に否定しないでください!」

後半の言葉は、彼女が田村厚の能力が高いと口癖のように言っていたことを皮肉ったものだった!

楠木観月は冷たく鈴木知得留を睨みつけた。

鈴木知得留は彼女を見ることなく、野村松尾に敬意を込めて言った。「野村社長、私からの報告は以上です」

「ご苦労様、席に戻ってください」

「ありがとうございます、野村社長」

鈴木知得留が席に着くと、野村松尾は咳払いをして大きな声で宣言した。「プロジェクトには多くの客観的な理由がありましたが、幸いなことに、すべて良い方向に進んでいます。今では、最初から鈴木知得留に告げなかったことを、むしろ喜ばしく思っています。たとえその行為が適切でなかったとしても、結果として私たちは非常に優れた素晴らしい企画案を手に入れることができました。そこで、ここで宣言します。プロジェクトの総責任者は引き続き鈴木知得留とし、他のメンバーは従来通り、鈴木知得留の指示に従ってください」

「はい」

下の者たちが、次々と返事をした。

「鈴木知得留、ちょうど今プロジェクトの全メンバーが揃っていますが、何か言いたいことはありますか?」と野村松尾が尋ねた。

「私はプロジェクトの責任者ではありますが、経験が浅く、多くのことが理論上の理解に留まっているかもしれません。皆様のご指導が必要です。先ほどの野村社長のお言葉は過分すぎます。皆様からのサポートをいただき、先輩方から多くを学ばせていただきたいと思います」鈴木知得留は丁寧な言葉で答えた。

野村松尾は満足げに頷いた。「皆さん一つのチームです。互いに助け合い、共に成長することが正しい道です」