第213章 反撃を学ぶ(6)村上紀文、言い忘れたけどあなたは本当に気持ち悪い!(2)

二人が話をしながら、車は冬木邸に到着した。

斎藤咲子はまず冬木郷を送り届けた。

冬木郷が車から降りると、斎藤咲子も礼儀正しく車から降りた。

冬木郷はその場を離れず、何かを思い出したように尋ねた。「渡辺菖蒲の家族とこんなに一緒に住むのが嫌なら、なぜ出て行かないの?なぜ別々に住まないの?」

「あれは私の家だから」斎藤咲子は率直に答えた。

「本当に馬鹿だね。なぜ自分を苦しめるの」冬木郷は諭すように言った。

「それこそが早く成長できる方法だから」斎藤咲子は真剣な表情で答えた。

冬木郷はその瞬間、心を揺さぶられた。

この女性は、引っ越したくないわけではない。自分に逃げ道を作らないため、自分を追い込んで強くなるためなのだ。

一体どんな傷を負ったのだろう。ここまで自分を追い込んで強くならなければならないほど。