会議室は静かだった。
静かに、斎藤咲子と渡辺菖蒲の対立を見つめていた。
誰も話さず、息をするのも怖いほどだった。
今の斎藤咲子は以前とは違っていた。以前は一人で戦い、どんなに頑張っても、まだ23歳の若い女の子で、どんなに能力があっても大きな波風は立てられなかった。しかし今は違う。斎藤咲子には大きな後ろ盾ができた。その後ろ盾は、ここにいる全員が手を出せないほどの存在だった。
このような膠着状態の中で。
斎藤咲子は渡辺菖蒲を許すつもりは全くなかった。
彼女は真っ直ぐに相手を見つめた。
渡辺菖蒲は、死んでも想像できなかった。取締役会の初日に、斎藤咲子に威圧を与えようと思っていたのに、斎藤咲子を困らせようと思っていたのに、今この瞬間、逆に面目を失わされ、これからどうやって取締役会にいられるのかと思った。